03全日本 SUGO

9/10 ダイノチェック

 今回はレースに向けてヘッドのバルブガイド、シート周りを整備する予定でしたが、内燃機加工の日程が取れずにやむえずシム調整のみフクダテクニカさんにお願いしました。完成したヘッドを取り付けマシンをフクダテクニカさんのダイノマシンでパワーチェックをしてみると996ccのシリンダーから955ccのシリンダーに変更した事もあってそのままの状態で118PSを記録!かなり淋しい馬力です。600マシンに毛が生えた程度でしょうか。燃調を見るとかなり薄い状態でした。今回はブルーライトニングさんから出ているi−CONと言うインジェクションコントローラーを取り付けてみましたので、早速調整開始、何度かセッティングを繰り返すと126PSまで出力のUPに成功しました。勿論全日本を走るマシンとしてはかなり厳しいのですが、現状のパーツコンディションではまずまずと言ったところです。

9/11 トラブル発生

 明日から始まる公式練習に向けて最終チェックにエンジンを暖機しているとクランクケースにまた冷却水が混入する事が発覚!ウンザリしながら各部をチェックするとリアバンクのインテークポートの内側に僅かなクラックを発見、冷却水がポタポタと燃焼室に入っていくのが見えて目の前が真っ暗に・・・これはもうダメだなと出場を諦めました。さすがに5年もレースに使ってきたマシンなので、いたるところがくたびれています。勿論少しずつ交換はしているのですが、ヘッドは使い続けていました。レースは諦めますの旨をピットクルーをお願いしていた方に伝えると自分のマシン(DUCATI926コルサ)のヘッドを貸してあげるよとありがたい言葉が!急遽マシンを持ってきて貰い早速リアバンクのヘッドを載せ変えました。夜の12頃に作業を終え、一抹の不安があるものの何とかこれで走れるかなと一安心です。

9/12 ART走行会(公式練習)

 いよいよ走行の始まりです。今回のピットの指定はDUCATI使用のチームで纏められたみたいで、SBクラスに沼田選手+996RACINGで出場のファンデーションさんとJSBクラスに須貝選手+999Rで出場のPLOTさんと一緒になりました。二人とも元WGPライダーと面子が豪華過ぎるピットですが、私が入ってバランスが取れる??感じです・・・

ファンデーション 996RACING
PLOT 999R

さてさて肝心の走行ですが、今ひとつ、いや、ふたつ?パワーが出ていない様で、思うように走れません。タイムも38秒台と慣らし並です。よっぽど人間が乗れていないのかなとも思いますが、今シーズン初乗りした時でも36秒ぐらいは出ていましたので、よっぽどパワーダウンの影響が出ているようです。色々と燃調も弄ってみましたが、あまり変わりません、何か他に問題が有りそうです。何の進展も無いまま公式練習2本を走り終えチェックを繰り返すとエンジン始動時のみ今度はフロント側のエキゾーストから水が少し排気に混ざります。はいはい又ですかとフロントバンクを分解、チェックすると燃焼室に僅かなクラックを発見、フロント側をばらしたままでマシンをピットに残し店に戻りリアバンクに続きフロントのヘッドも926から部品取して翌日の朝組上げる事にしました。さすがDUCATIは基本設計があまり変わっていないので、888ベースのマシンも916ベースのマシンも若干の違いはありますが、大雑把に言えば互換性が有ります。いよいよ暗い気持ちで、翌日の予選を待ちます。

9/13 予選

いよいよ予選日ですが、天候が思わしくありません。作業も有るので早めに現地入りしましたがSUGO名物の霧がコースを覆っています。

早速フロントヘッドを載せ変えます。知り合いのオフィシャルから間に合うの?と不思議そうに聞かれますが、デスモヘッドはカム周りをばらさずに交換出来るので案外早く交換できます。過去に午前の予選と午後の予選の間にピストン交換と2サイクルみたいな事をした事も有ります。さてエンジンを組上げて予選開始を待ちますが、霧の為各クラス次々と中止になります。JSBの開始時間になってもまだ霧は晴れません。もどかしい気持ちで霧が晴れるのを待ちます。

もう中止だねと皆が言い始めた頃ようやくコースオープンのアナウンスが。全クラスを通して最初の走行がJSBクラスとなります。いよいよ予選スタート!又何時霧が出て中断になるかも知れないので、早めにアタックを開始しますが、昨日に増してエンジンが遅くて頑張ってもなかなか38秒を切れません。8000rpmぐらいで吹け上がりが鈍ってしまい11500rpmまで引っ張るのは6速のみと言う状況です。何よりコーナー立ち上がりで加速が鈍くてSPイン〜アウトの間なんかはほどんど加速を感じない有様で、かなりギリギリ攻めて37.5を出しますが、自己ベストより3秒も遅くて絶望的です。予選順位は38台中34位とかなり寂しいポジションで終了。何とか926ヘッドとマッチッングを図ろうと54パイのエキゾーストから52パイのエキゾーソトに交換して2回目の予選を待ちますが、GP250クラスの予選時間辺りから又霧が出てしまい結局その後の走行は中止となってしまいまい1回目の予選で順位が決定しました。ナオエマシナリーの直江さんに現状を相談するとお前のエンジンはバルブタイミングをクランク側で進めているから926のヘッドのタイミングと合ってないぞとかなりまずい事を指摘され慌ててフクダテクニカに車両を持ち込んで調整してもらいました。これで明日のフリー走行で何とかペースが戻ればと疲れ果てつつ予選日を終えました。

予選1回目赤旗(転倒車両によるオイルがSPに)再スタート以降の映像をUPしておきます、苦闘の予選と言った感じの映像はこちらです。(30M)

9/14 決勝

決勝日は前日とうって変わって快晴になりました。この状況では雨にでもなって貰いたい所ですが霧よりはマシです。台風の影響でしょうか、風が強いですね。

前日の霧によるスケジュールの変更からJSBクラスのフリー走行は事前のスケジュールより少し早めにスタートします。何とかこの走行で、タイムを出して決勝に備えようと気合を入れてピットアウトします。裏のストレートでスピードの乗りと吹け上がりをチェック、前日より大分良くなっています。行くぞ!と気合を入れてシケインを立ち上がるとバキッといきなり駆動が抜けます。ウォッ思いリアを見るとチェーンはちゃんと付いてます、と言う事は例のあれかなと惰性で10%を上ってピットインします。クルーにマシンを預けてイライラしながらマシンをチェックすると案の定リアアクスルシャフトがねじ切れていました。そうそう壊れる部品では無いのですが、過去にも1回壊してましてこれで2本目です。フリー走行がパーになってしまいましたが、幸い、いざと言う時の為に持ってきていた借り物の916からノーマルのアクスルを外して合わせて見ます。ブレーキごと交換すれば互換が有りましたので、ずいぶん重くなりましたが、丸ごとノーマルパーツでしのぐ事にします。トラブルもここまで続くと俺何かしたかなと日々を振り返りたくなります。

一周も出来ずに終わってしまったフリー走行はこちらです。(6.5M)

さていよいよ決勝です。最初にお詫びしておきますが念入りに確認したのですが、肝心の決勝だけ動画がなぜか取れていませんでした、迫真の画像が取れていたはずなのでかなりがっかりです。

9列目と先頭がかなり遠くに見えるポジションから得意のスタートで追い上げを狙います。クラッチミートはまずまず、渋滞している1コーナーをアウトから回りかなりポジションUPしてまずまずの位置につけます。裏のストレートで、3台ほどに交わされますが、シケイン侵入でまた抜き返し10%を上って行くとまたバシバシと抜かれてしまいます。それでも序盤は何とか抜きつ抜かれつを繰り返しますが、思うようにタイムを上げれません。熱くなってしまって走りのリズムがおかしくなっています。何とか冷静に走りを組み立てようとしますが、熱くなっているのはライディングだけでなく水温の方もじわりじわりと上昇してきました。今日の外気温ならばいつもは85℃ぐらいで安定しているのですが、すぐに90℃を超えて1周ごとに温度が上がっていきます。ヤバイ!ヤバイゾ!とエンジンを労わりながら走行を重ねますが、11L目の馬の背の進入でスクリーンに散った冷却水が掛かるのを見て水温も100度近くまで上昇したので、残りの周回数を考えてブローする前にSPコーナーのイン側にマシンを止めてリタイアしました。

 今回のレースを振り返るとかなり反省しなければならないレースでした。レース前マシントラブルに見舞われていた段階で本来諦めるべきでしたが、このレースの為コツコツと体力トレーニングを重ねて準備してきただけに何とかして出走したいと言う気持ちを抑える事が出来ませんでしたが、結果を見ても何も得るものがありませんでした。特にマシンに関してはもっと万全を期さないと自分が転ぶ分には良いのですが、ひとりで走るわけでは無いので万一エンジンブローさせてコースにオイルでも出したら他のライダーを危険に晒してしまいます。無論無理なパワーUPよりはブローしないように安全マージンを見ているつもりでしたが、バルタイの事とかを考えるとかなりまずい事をしてしまいました。長年乗ってきた愛車の916ですが来年はトップカテゴリーもJSBクラスのみになりますし、そろそろ見切りをつけなければならない時期のようです。現在はエンジンを分解してオーバーヒートの原因を探していますが、まだこれと言ったトラブル個所は発見できていません。しかしこのエンジンにもう一度火を入れることは無いかもしれません。